第1章 始まりの日

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ガバッと勢いよく体を起こすと、全身に痛みが走った。 少女は、その痛みに顔をしかめる。 「おまっ……あちこち怪我してるんだから気をつけろよ」 腕を見ると、ワーウルフにつけられた傷や木の枝に引っ掛けた傷が手当されてあった。 だが少女は構わず、痛みに耐えながらもベットから降りようとする。 青年が慌てて押し止めるが、少女の抵抗は必死だ。 「……家に帰らなきゃっ。母さんを助けに行くのっ」 「ちょっ……落ち着け、リラっ」 青年の口から発せられた言葉に、少女の動きがピタッと止まった。 困惑した表情で青年を見つめる。 何も言葉が出てこない少女に、青年はさらに続ける。 「ミリアナに頼まれたんだ」 青年の口から母の名前を聞いて、少女―リラはますます混乱してきていた。
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