第1章 始まりの日

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青年は意に介さず言葉を続け、家が半壊状態だったので慌てて外を探しに出たことを話した。 そして争いの気配を追って、リラを見つけたのである。 そこまで話を聞いても母の安否につながる話がなく、リラの瞳が不安に揺れる。 「生きてる、絶対」 思わず握りしめていたリラの手をポンポンと叩き、きっぱり言い切る青年。 気休めを言っているのかもしれないが、青年の紅い瞳を見ていると何となく信じてみようという気になれる。 だからリラは、魔物の襲撃からミリアナとの会話、青年に助けられるまでを一つも間違えないように、ゆっくり話した。 ――最後まで黙って聞いていた青年は、少し難しい顔をしながら考えていた。 「"月の涙"か……」
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