第1章 始まりの日

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お盆を部屋のテーブルに置くと、3人の方を向いた。 空気を読めないのか、あえて読まないのか、宿主の話は止まらない。 「昨日はびっくりしちゃったよぉ! この兄ちゃんが傷だらけの女の子抱えて来るんだもんねぇ……。何処ぞで誘拐してきちゃったのかと思って慌てちゃったわよぉ、あっはっはっは」 部屋が宿主の豪快な笑いで満たされる。 リラはその勢いに圧倒され、2人はただただ苦笑するばかりだ。 ちなみにこの宿屋は、リラのいた森を抜けてしばらく歩いた場所にある。 国境が近いので、よく商人や旅人が利用するのだが、昨日今日は利用客が少ない。 宿主が話を続けられるのも、その事が要因してるのだろう。 3人にとって、幸か不幸かは計りかねるが……
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