白い世界

2/3
前へ
/14ページ
次へ
   目を開けた。    光が差し込む、真っ白な壁に囲まれた真っ白い四角い部屋の中には、自分と、やたら白い顔の君だけだ。   「ごめん。寝てた。」    何度目かわからない問い掛けは、虚しく白い壁に吸い込まれた。閉じた瞼と、僕の体温を通さない冷たい手は、何の反応も返してくれない。   「ねえ。」    君は今どんな夢を見ているの?   「ねえ…。」    君はいつ目を覚ますの?        君は目を覚ましてくれるの?        ありったけ強く抱いた想い。無機質な機会音とともに、さっきから何度も何度も繰り返す。    
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加