空1 無表情の少女

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「…………飛鳥」  優しい声。  優しい笑顔。  大きな手に頭を撫でてもらうのが大好きだった。 「ほら、さっさと行くぞ」 「……側を離れるな」 「奴だけは見本にするな、ロクな人間になれんぞ」  何時も前を進んでいた。  近くて遠い存在。  必死になって走って追い掛けていた。  追い掛けると必ず先にいるのだけれど待ってくれた。 「わしゃあ飛鳥がその笑顔で笑ってくれてるだけで幸せじゃき」  辛い時代なのに何時も明るく笑顔をくれた。  乱暴に撫でてくる手は気持ちよかった。  けれど…………。 「飛鳥…………子は何時か必ず親元を離れる」  重く、理解したくない。 「………………生きてくれ…………私のいとおしい娘……」 .
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