30人が本棚に入れています
本棚に追加
ピピピ
ピピピ
無機質なアラームに目を覚ます。
決まったテンポで鳴る眠気を遮るその音を止める為に手を伸ばした。
「…………ん……」
が、その音に気が付いたもう一つの手が先に止めた。
「…………あ――まだ眠いよ……」
音を止めた主はそう言うとすぐに布団を頭まで深く被り、二度目の睡眠に入ろうとする。
二度寝の味を占めてしまうと一度で起きたくなくなるのだ。
だが、そう言う訳にもいかないので、寝かせない様にと手を伸ばした。
「綱吉、寝たら駄目だよ」
優しく肩を揺らすと返事が返ってきた。
「ん――……飛鳥、あと五分だけ……」
その返事に対して淡々と答えた。
「駄目、綱吉の五分は遅刻になるから」
起きて、と身体を揺らせば布団と一緒に腕が延びてくる。
グイッと抱き寄せられれば眠気に負けている声が。
「……大丈夫だよ、飛鳥。だから一緒に寝ようよ…………」
甘やかしてはいけないと再三言われている。
けれどどうしても甘やかしてしまうと言うか目の前の相手だけの押しに弱いのだ。
最初のコメントを投稿しよう!