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「遅刻遅刻遅刻!」
朝食のパンもロクに味わえずに綱吉は走る。
その後を飛鳥は呼吸一つ乱す事なく着いていく。
「あああ!もう走っても絶対に間に合わない!」
もう駄目だと弱音を吐く綱吉に向かって飛鳥は言う。
「綱吉、急ぐ?」
「急ぐ、いそ…………」
綱吉の最後の言葉を聞く事もせず、最初の言葉から判断をした飛鳥は綱吉の手をしっかりと掴んで走るスピードを上げた。
「だぁあ!」
その速さと言ったら。
その速さについていけない綱吉は半分宙に浮いた状態になる。
本来ならば転んでしまうのだが、しっかりと掴んでいる飛鳥の手の所為で転ぶ事が許されない。
自分自身の足にとられながらも、綱吉は荷物を落とさまいと必死にカバンを握り締め、早く学校に着けと祈るばかりだった。
毎度の事ながら飛鳥の足の速さには慣れない。
同じ人間でましては飛鳥は女の子なのに、と。
自分の駄目さ加減が嫌な程思い知らされる。
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