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「間に合ったよ」
校門前にてやっと止まった飛鳥に綱吉はフラフラのまま答えた。
「あ、ありがと……」
「チャイム鳴るから急ごう」
そう言って今度は綱吉に合わせたスピードで行く。
まだ先程の全力疾走の余波で頭がクラクラしている綱吉の事を配慮して。
玄関に入り靴箱で外履きから上履きへと履き替える。
遅刻ギリギリの時間で周りの生徒の数も少なく、皆早足に教室へ駆けていく。
綱吉と飛鳥も例外ではなく、早足で教室へと向かう。
向かいながら綱吉は申し訳なさそうに飛鳥へ言った。
「ははは……毎日本当に駄目だよな、俺」
「眠いなら仕方ないよ」
サラッと返答をする飛鳥に綱吉は首を振りながら自分の事を考えて言う。
「何時でも飛鳥に頼りっきりでさ。飛鳥は何でも完璧に出来るのに兄貴の俺は何も出来なくてさ…………」
何でこうも同じ生活をしていて違うんだろうと落胆していると早足で歩いていた飛鳥がその歩みを止めて止まっている事に気が付いて綱吉も止まった。
「飛鳥?」
振り替えると同時に飛鳥が言う。
「そんな事、ない」
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