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深夜、ビルとビルの狭い路地裏
そこに返り血で赤く染まったキャミソールにジーンズの若い女性が、血塗れの鉄バットを握りしめ、バットを地面にカランカランと打ち付けながら歩いていた
その女性の後ろには人間の原型がとどまっておらず、もはや人間ではない赤い塊が転がっていた
女性はゆっくりと路地裏の奥に歩くが、足を止め夜空を見つめる
すると、彼女の体に着いた汚れを落とすかのようにポタポタと雨が降り始め、次第に雨が強く降る
彼女はふとこちらを見つめる
彼女の顔は返り血で真っ赤だった
だが…彼女はニヤリと笑っていた
私は気付かれたと思い、急いでその場から離れ、大通りに向かい走る
だが後ろからカランカランと、バットが地面に打ち付けられる音が近づいてくる
捕まっちゃったらダメだ
全てがおしまいになる
そう私は思い、死に物狂いで走る
ポリバケツに当たろうが知ったことではない
ただただ大通りに向かって走る
すると鉄バットの打ち付けた音がだんだん小さくなり、次第には聞こえなくなった
私は助かったと思い、一瞬安心する
だがしかし
目の前に彼女がいる
私は足を止め、悲鳴をあげた
彼女はカランカランと鉄バットを地面に打ち付け私にジワジワと近づく
私は足がすくみ、後ろに尻餅ついた状態で倒れて身動きがとれなくなる
彼女が私に近づく
終わった
私…死ぬのか
そう感じ取った瞬間過去の記憶が走馬灯のように甦る
彼女は私の目の前で立ち止まる
鉄バットを両手で持って振り上げる
彼女はまだニヤリと笑っていたままだった
私はうわぁぁぁと悲鳴をあげた瞬間に鉄バットが私の脳天に向かって降り下げる
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