第一話

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第一話

太陽が真上に昇る少し前、大きな剣を背負った少年が賑やかな学生街の大通りを歩いていた... その少年の黒い髪は太陽の光線を反射しながら、力強く風に靡いている。 両手には大きく膨らんだ旅行鞄が握られており、少年は明日から通うオーペンス上級魔法学校へ、入寮の為一日早く足を運んでいる。 「俺の名前はクロス=フェイナス。 趣味は料理、特技はスポーツ全般だ。 武器は大剣とガントレット、得意な属性は闇だ...いや、ここはやっぱり土にしておくか....」 クロスと言う名の少年は、いずれ来るであろう自己紹介に備えブツブツと練習をしている。 因みにこの少年が言った闇とは、この世界では尊敬の、著しくは畏怖の対象となる魔法だ。 少なくとも、未だ顔に一握のあどけなさを残す者に扱える筈など無かった...筈だ (あー自己紹介とか困ったな何言えば良いかわからん...こうなったらぶっつけ本番で、他の人を参考にしてやるか。) そんな事を考えていた少年が通う事となる【オーペンス上級魔法学校】とは、この国で一二を争う有名国立魔法学校である。 その学校を卒業した者には、軍司令部や有名ギルド、政府高官への道が開かれると言っても過言では無いだろう。 国中でその評価は高く、クロス自身も昨日泊まった宿屋の主人の態度に驚いていた。 まあ、クロス自身が、この国の離れ田舎で祖父に育てられた所以もあり、あまりその辺の世情に詳しく無かったのも驚いた原因の一つだ。
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