獅子奮迅

36/47
前へ
/145ページ
次へ
「……こいつは……」 「あン?何かあったか?」 あの鉄面皮な黒鉄が珍しく──本当に珍しく顔をしかめていた。 こんな顔をしたのは、数年前にモダン2を黒鉄とタイマンし、俺が隠れながら芋りまくって25連キルしたとき以来だな…… しばらくして、いつもの無表情に戻った黒鉄は重々しく口を開いた。 「この神力……蔵王のジジイだ」 「オイオイ、マジか」 「なんだ、ザッちゃんもいるんだ」 「そだよ。蔵王も引っ越し組だよ」 しかし、蔵王が果たして何らかの理由で俺に怨恨やら何かを持ち、殺そうと仮定して、こんなカス二匹使った回りくどいコトするか? アイツならソッコーでタイマンを挑んでくるだろうし…… 「いや待て……凄い神力反応がジジイの近くにもう一つ……ヤバイな、こいつはジジイ以上の神力だぞ。少なくとも、色は銀以上だろうな」 「お、てことはそいつがカス共の親玉じゃね?」 「……間違い無いな。そこの魔術師とほぼ同じ波長の神力だ」 ──色は全く違うけど……と言って黒鉄は熱砂から手を離し静かに立ち上がる。 つまり、場所を完全に把握したということだな。
/145ページ

最初のコメントを投稿しよう!

274人が本棚に入れています
本棚に追加