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「……いかがですか?」
返事を求めたことで硬直がとけたらしく、私を凝視してくる。
信じられないといったカオで。
これまでの相手も、この条件を言った途端同じようなリアクションをして帰っていった。
馬鹿にしてるのか!と怒る。
頭がおかしいのか?みたいなカオで呆れたように見てくる。
侮蔑の表情で無言で席を立つ。
――さあ、この人はどれかしら?
「いいですよ」
カケラも期待せずに返事を待っていた私の耳に届いたのは、予想から外れた答えだった。
「は?」
今度は私の目が点になる。
何を言ってるんだこの男は。
「ではこれからよろしくお願いします、弥生さん」
「……冗談にしては面白くないですね」
にこにこと笑って挨拶なぞしてきたオトコに鋭い視線を向ける。
「え?冗談なんかじゃないですよ?」
言いつつ、席を立つ日下。
さん付けなんかやめる。
「……どちらへ?まだお話は終わってませんが」
「仲介人の方と両親達に説明を」
「……何と?」
「お話を進めてくれるよう言ってきます」
――ブチッ!
もぉキレた!!いつまですっとぼけるつもりだ、コイツ!
「いい加減にしてください!冗談じゃないならからかってるんですか!?」
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