第四章

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「夏目君って、何かサークルとかやってるの?」 ここで沈黙が訪れてはまずいと思った私は適当に夏目宗佑に質問をぶつけた。 「ううん、何にも」 夏目宗佑は静かに首を振った。 どう会話を続けようかと思案した矢先、ラーメンの乗ったお盆を手にした渡辺翔太が「こいつの生活、マジバイトばっかだよ」と言いながら私と夏目宗佑の間に座った。 ほぼ同時に柳瀬拓実も席に着く。 「バイト?」 実家の裕福さゆえに私とは無縁のものだが、大学生ともなるとアルバイトをしている人々はそこかしこに見受けられた。 何も金に困っている人だけがアルバイトをしているわけではないことは十分に承知していたが、しかし、経済状態と学力にはある程度相関関係があると思っている私は、かの夏目宗佑の生活がバイトばかりというのには少しばかり驚かされた。 「夏目君って一人暮らしなの?」 「うん、そうだよ」 「出身は?」 「東京」 「なのに一人暮らし?」 「俺、両親いないから」 「え」 他愛もない会話のはずだったのに、予想外の爆弾に言葉に詰まってしまった。 「二人とも、もう死んでる」 夏目宗佑はなんでもないことのようにさらりとその言葉を口にした。 「え、あの」 私の同様をよそに「お前ってほんと苦労してるよなー」と渡辺翔太が言葉を挟む。 どうやら、渡辺翔太と柳瀬拓実はその事実をすでに知っていたようだ。
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