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「ね?ダメ?」
「私はいいけど……」と言いながら千佳の様子を伺う。
「別に、いいよ」
千佳が短くそう答えたことで私は胸を撫で下ろした。
「よっしゃ。じゃあ、行こっ」
渡辺翔太が明るくそう言って立ち上がったことで、食堂での時間が終了した。
スキー板を取って準備を始めたところで、柳瀬拓実が一人スノーボードを手にしていることに気付いた。
「柳瀬君、スノーボードなの?」
「うん」
彼らしい短い返事だ。
「スキーもやったことないらしいのに、何故かボードチャレンジしてんだよ、こいつ。朝からコケまくり」
横から渡辺翔太が情報を補足する。
「結構上達したし」
拗ねたようにそういう柳瀬拓実に対し、夏目宗佑が「そうだよな。上達スピード早くて驚いたよ」と言いながらニコリと笑った。
「へえ」と私が呟いた時には、すでにリフトに向けて柳瀬拓実が滑り出していた。
本当にどこまでもマイペースな人だ。
柳瀬拓実の背中を見ながらそんなことを考えていると、渡辺翔太が「そうだ」と何かを思いついたように言葉を発した。
「高橋さん、夏目にスキー教わったら?」
渡辺翔太は突然そんなことを言い出した。
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