第四章

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「ん」 目を開けると、綺麗な木目の入った天井が視界を占める。 ここは? 何とか体を起こすと、今朝方訪れた叔父さんの別荘の一室だった。 手をゆっくり握っては開く。 それほど違和感はない。 足首と背中に若干の痛みがあったが、危惧した程の重傷ではないようで安堵した。 何故スキー場にいたはずの私がここにいるのかを考えたが、さすがに千佳一人の力では難しいことは容易に察せられた。 おそらくあの三人が関わっているのだろう。 まだ、彼らはここにいるだろうか。 というか、今一体何時―― ガチャっと音がして部屋の扉が開く。 現れたのは渡辺翔太だった。 「あ、起きた?」 「あ、うん」 「よかった。心配した」 他意のない言葉であることがわかっていても、その真剣な表情に少しドキリとした。 「大丈夫?痛い?」 「足首と背中、少し痛いけど、でも、大丈夫」 「うん、捻挫と打撲みたいだけど、骨に異常とかはないって」 記憶にないが、どうやら病院での診断はすでに済んでいるようだ。
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