第四章

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「そう。今、何時?」 「もうすぐ十一時。お腹空いている?ご飯持ってくるよ」 「ありがとう。お願いしてもいい?」 「もちろん。高橋さんに声かけてくるね。すごく、心配してたから」 「うん。あ、渡辺君たちってここ泊まるの?」 部屋は空いているし、当初の予定でもできれば合流したいという話はあったのだが、千佳が少しでも嫌がるようなら止めようと思っていた。 「あ、うん。病院行った後、俺の車で久保さんここまで運んで、その後、高橋さんにどうぞって言われたから、そのまま……」 「あ、わかった。うん。ありがとう」 渡辺翔太は「じゃあ」と言って部屋を出て行く。 なんだろう。 何だか物事が上手くいきすぎている。 いや、無論自分の事故を度外視しての話だが。 その後夕食を持ってきた千佳と少し会話を交わし、再び眠りにつく。 目が覚めた時には明け方になっていた。 ゆっくりと起き上がり、そっとベッドから降りる。 少し痛いが歩くことにはそれほどの支障はないように思われた。
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