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「土曜、遅くなってもいいならっ。あ、十二時とかになっちゃうんだけど、えっと」
『ほんと?いいよ、それで。むしろ、俺もそのくらいになるかも』
「終わったら、電話する」
『了解』
二、三言葉を交わして将晴との会話を終える。
何にも考えてなさそうな将晴が自分の誕生日を覚えていてくれたことが嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。
「彼氏?」
「え」
振り返ると、コンビニ袋を片手に下げた夏目先生がそこに立っていた。
ソファに腰を下ろした先生は袋の中からおにぎりを取り出してその包みを丁寧に破る。
食事、いつもコンビニおにぎりなのかな、なんてお節介極まりない心配が頭をもたげた。
「ごめん、下世話だったかな」
私が何も答えないので、夏目先生が少し不安そうな表情で首を傾げた。
やばい。
完全に誤解だ。
私は慌てて首を降った。
「いえ、そんなことないですっ」
「そんなに必死にならなくても」
夏目先生は柔らかに微笑む。
かっこよすぎ。
反則だよ。
「まあ一応彼氏です」
一応なんて言ったら将晴には悪いが、先生と比べるとやはり将晴は位が二つくらいは違うんじゃないかと思えてくる。
いや、好きだよ、好きなんだよ、将晴。
こんな私を許せ。
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