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「よかったー」
将晴が吐き出すように声を出して突然しゃがみ込むものだから、私はびっくりしてしまった。
「将晴?」
「いや、直樹の提案だったんだけど、外したらどうしようかと思ったら今週ずっと気が気じゃなくて……」
「直くんが……」
直樹君は将晴の弟だ。
これまで何度も会ったことがあるが、将晴と違って器用で社交的な少年だ。
そして、その誠実さや優しさは将春とよく似ている。
「今日、直くんは?」
「友達んとこ」
「え」
「あ、追い出した訳じゃないよ。あいつが、自分から……」
「あ、そう。そっか」
高校生の子に気を使わせてしまって、申し訳ない。
「これ、将晴が作ったの?」
「ん?ああ」
照れたように視線を逸らす様子を、素直に可愛らしいと思った。
「将晴」
「ん?」
「ありがとう」
「バカ、そういうの反則」
しゃがんだままの将晴が腕の中に顔を埋める。
その耳が真っ赤に染まっているのが見えて、思わず笑みがこぼれた。
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