第五章

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「食べよ」 私はカバンを置いてテーブルの前に座った。 「うん」 将晴も顔を上げて正面に座る。 「いただきます」と二人で手を合わせた。 「今日は?仕事早かったの?」 「あー、一時間くらい前に帰ってきた。色々準備してたんだけど、間に合わないかと思って焦った。重大事件とか起こらなくてよかった」 「一時間?それでこんなの作ったの?すごいね」 「いや。てか、ケーキの受け取りとか、ちょっと直樹借り出してるから……、ごめん……」 「そんなっ」 私は大きく首を振った。 直くんに感謝こそすれ、将晴が謝るようなことは何もない。 「明日の朝は?早いの?」 「特に事件とかなければ八時くらいに行けば大丈夫」 警察官、特に刑事の就業時間は変則的だ。 口ぶりから、今はあまり忙しい時期ではないことが察せられるがそれでもこれだ。 同時に私が救命救急センターに配属されたこともあり、この三ヶ月将晴と会う時間が激減していた。 「ちゃんと寝てる?」 「ん?んー、大丈夫」 これは大丈夫でない時の反応だ。 私がその程度のこともわからないと思われているなら心外だ。
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