第五章

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「ご飯は?ちゃんとしたもの食べてるの?」 「今日は、かなりちゃんとしてると思うけど」 「今日の話じゃなくて」 「最近?んー、まあ、大丈夫」 こういう時の将晴は私の目を見ない。 こんなにわかりやすくて刑事としてちゃんとやっていけるのか不安である。 「あ、これ美味しい!」 なんとなく口に運んだ唐揚げの予想を遥かに上回るクオリティーに思わず感嘆の声が漏れた。 「本当?よかった」 「揚げ物もしたの?すごいね、将晴」 料理が上手だなんて知らなかった。 忙しいからやらないだけで、やればできるものである。 完全に私よりハイレベルだ。 「スマホでレシピ見ながらやっただけだから、そんな感動しないで」 「それでも十分すごいよ」 私は次々と料理を口に運んだ。 正面に座る将晴にちらりと視線をやると、その眼球がせわしなく動いていることがわかる。 何かを言い出せずにいる時の将晴の癖だ。 「どうしたの?」 「ん?んー、えと」 非常に言いにくそうに将晴が口を開くものだから、思わず背筋を伸ばして姿勢を正した。
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