第五章

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「あの」 「須藤さんには敵わないなあ」と言って想い人の存在を認めた夏目先生は、口元に寂しげな微笑を浮かべながら、目を伏せ気味にして声を落とした。 「うん、綺麗な人だよ」 きっと彼女のことを思い出しているのであろう、夏目先生が今までに見せたことのない、愛しいものを見つめるような表情をする。 うわ、かっこいい。 「でも、そういうことじゃないんだ」 「え?」 「多分、彼女が世界一不細工でも、やっぱり僕には彼女しかいなかったよ」 うわー。 なんか、もう、うわー。 やばい。 かっこよすぎる。 「愛ですね」 「愛ですよ」 先生が楽しそうに笑う。 やばい、惚れそうだ。 「告白したんですか?」 「ううん、できなかった」 「え、じゃあ、今からでもっ」 夏目先生なら絶対大丈夫です。
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