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「でも、連絡先わからないからね」
「え?知らないんですか?」
「知らないよ。住所もメールアドレスも何にも知らない」
「え?じゃあどうやって会うんですか?」
「もう、八年近く会ってないな」
「え!?」
八年って。
「八年間、一度も会ってないんですか?」
「うん、今どうしてるのかもわからない」
「それでも、好きなんですか?」
私の質問に対し夏目先生は寂しそうに笑って「僕には、彼女しかいないから」と答えながら立ち上がる。
終わりの合図だった。
「じゃあね。夜勤頑張って」
「はい、お疲れ様です。先生!ちゃんと寝てくださいね」
「はい」
夏目先生が小さく手を振ってその場を後にする。
何その可愛らしい仕草、なんてさすがに口に出すわけにはいかない。
「よしっ」
一人で気合いを入れ直した私は、その場をあとにして仕事へと向かった。
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