第五章

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「将晴っ」 改札で将晴の姿を見つけて思わず大きな声が出た。 あれから二週間、外でのちゃんとしたデートは実に二ヶ月ぶりだった。 「ごめん、待たせた?」 「いや、さっき来たとこ」 嘘だ。 相当前からここにいた。 将晴って本当に分かりやすい。 「ごめんね」 「ん?何が?」 「ううん、なんでもない」 不思議そうに首を傾げた将晴だが、たいして気にした様子もなく「今日、映画でいい?」と話を続ける。 「映画?」 「嫌?」 「ううん、そんなことない」 私は映画を見ることがとても好きだが、将晴はそうでもない。 じっとしているのがあまり得意ではないのだ。 映画なんて珍しい。 「何見るの?」 「何でもいいよ。真奈美の好きなやつ」
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