第五章

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「まだ、途中だよ」 「もういいから」 「じゃあ、もう謝らない?」 「言わない。もう言わないから、ほんとやめて」 「よし」 ニコリと笑った私につられて将晴の口角が上がった。 赤面したままの将晴が、それを隠すようにスタスタと歩き出す。 私はいつものように、その後ろをそっとついていく。 私のことなんてまるで気にしていないようでいて、実はいつもより歩調を緩めてくれているのを私は知っている。 そんな将晴が好きだった。 将晴は好きなのを選んでいいと言ったけど、私は一番気になった恋愛ものではなく、将晴の好きそうな洋画を選んだ。 「あ、俺もそれが見たかった」と嬉しそうに言う将晴を見ているのが私の幸せだ。
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