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「まだ、途中だよ」
「もういいから」
「じゃあ、もう謝らない?」
「言わない。もう言わないから、ほんとやめて」
「よし」
ニコリと笑った私につられて将晴の口角が上がった。
赤面したままの将晴が、それを隠すようにスタスタと歩き出す。
私はいつものように、その後ろをそっとついていく。
私のことなんてまるで気にしていないようでいて、実はいつもより歩調を緩めてくれているのを私は知っている。
そんな将晴が好きだった。
将晴は好きなのを選んでいいと言ったけど、私は一番気になった恋愛ものではなく、将晴の好きそうな洋画を選んだ。
「あ、俺もそれが見たかった」と嬉しそうに言う将晴を見ているのが私の幸せだ。
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