第五章

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「すげえ面白かったな」 「ね!やっぱりハリウッドってすごいね!」 将晴に合わせて映画を選んだつもりだったが、予想を超えるクオリティーの高さに対し本当に感動してしまった。 こんなにテンションを上げている将晴を見ることができるのもかなり珍しい。 「この後夕食どうする?何か食べる?」 軽いノリで聞いたのだが、瞬間、将晴の表情が一気に真顔に戻った。 「将晴?」 「あー、えと、あのさ、帝国ホテル……」 「え?」 「帝国ホテルのディナー、予約したんだけど、どうかな?」 「え!?」 将晴が恥ずかしそうに私から目を逸らす。 それもそのはずだ。 将晴がホテルのディナーを予約なんて、この十年間で初めてのことだった。 「どうしたの?そんな……」 「どうしたのってことないだろ。いや、ちょっと話あるし、うん……」 この二週間、考えないようにしていたが、前回途中までしか聞けなかった将晴の言葉を思い出す。 まだ何を言われたわけでもないのに鼓動がどんどん早くなるのは、自意識過剰だろうか。
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