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「ほんと?」
「うん」
将晴がふぅと深い息を吐く。
「ごめん、こんなとこで言うつもりじゃなかったんだけど」
「いいよ、場所なんて。というか、ホテルよりこっちの方が『らしい』」
「何それ」
「それより、行かなくていいの?なんか、将晴のこと待ってるっぽいけど」
私の言葉に反応し、将晴が振り返って周囲の様子を確認する。
パトカーが一台出発していないのはどう考えても将晴待ちだということに気が付いたのか、「ごめん」と言ってそちらに体を向ける。
「また連絡する。ほんとごめん」
「いいって。早く行きなよ」
「うん」
パトカーに向かって駆け出した将晴が行ってしまうのをじっと見守った。
その姿が見えなくなると、先ほどの将晴の言葉が頭の中で反芻された。
『結婚しよう』
夏目先生のこと、かっこいいなんて言ってごめんね。
やっぱり、将晴が世界で一番だ――
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