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「うわーみんなの言う通りだ!かっこいー!」
「えーっと……」
「あ、何か勝手に盛り上がっちゃってすみません。槙野彩です」
彼女について説明を加えようと思った矢先、夏目先生の口から「ああ、半年前の」という言葉が漏れる。
「覚えてるんですか!?」
思わず大声が出る。
一体毎日どれほどの患者さんが運ばれてくることか。
まさかそれらの人々をすべて覚えているとでもいうのだろうか。
「台風の日、バスの横転事故で運ばれてきた子でしょう。でも、半年間ずっと入院してたってことはないよね。今は検査入院か何か?」
「はい、そうです!すごーい!そんなの全部覚えてるんですか!?」
「あ、いや、全部ってことはないけど……」
依然として彩ちゃんの勢いに押されてはいるが、若干慣れたようである。
「でも、夏目先生に会えるなんて感動!須藤さんありがとう!」
意に介さないような表情を見せる夏目先生に対し、「ずっと、お礼が言いたかったんです」と彩ちゃんが落ち着いた表情で言葉を落とした。
「え」
「私、足を切断するところだったって聞きました。でも、先生が何とかそれを回避してくださったって」
「……」
「私、バレエやってるんです。これでも、一応プロを目指して。足の切断なんかしちゃったら、もう、生きてる意味なかった」
「そんなこと」
「だから、夏目先生に言いたかったんです。ありがとうって。ありがとう、ございます」
最後は、ベッドの上でぺこりとお辞儀をした。
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