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「須藤さん」
「はい」
「ありがとう、ね」
その言葉は、先ほどのありがとうとは違って、きんとお礼の意味が込められていた。
「いえ。わかりました?夏目先生はみんなに必要とされているんですから。わかったら、ちゃんと休みもとって」
私はそこで言葉を止めた。
夏目先生が申し訳なさそうに眉を下げたからだ。
「先生?」
「ありがとうは嘘じゃないけど、でも、それはできないよ」
「何で……」
「ごめんね。せっかく僕のこと考えてくれたのに。須藤さんに感謝してるのは本当なんだ。僕、須藤さんの、そういう所にすごく救われてる」
「なんで、そんなこと言うんですか」
届いてくれないくせに、そんなことだけ言うなんて、そんなのズルい。
「須藤さんは絶対に僕にはなびかないから」
夏目先生は寂しそうに目を伏せて即答した。
「どういう意味ですか?」
「そのままの意味だよ。人はよく、僕を肯定する」
夏目先生の言っていることの意味がわからない。
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