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「お隣さんって、何さん?」
「知らない。興味ない。帰るときに見ていけば」
「そう」
興味ないと言った将晴の語調の強さに何か違和感を覚えるのは、少し勘繰りすぎだろうか。
やめやめ、そんなの疑ってもバカバカしい。
食事を終えて一息つくと、壁に掛けられたアナログ時計に目をやった。
「泊まってく?」
「ううん、今日は帰るよ。明日早いし」
自分の家の方が病院に近い。
今から帰るのは少し面倒だが、明日の朝の手間を考えるとやはり帰るべきだろう。
「じゃ、駅まで送ってくよ」
「ありがとう」
荷物をまとめると将晴に続いて外へ出る。
隣の部屋が気になった私は、その表札にちらりと視線をやった。
高橋――
どこにでもあるはずの普通のそれは、何故だか私の胸をざわつかせた。
「何してんの?」
「ごめん、すぐ行く」
私は彼女の存在を意識的に外に追いやって、将晴のアパートの階段を下った――
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