第五章

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「将晴、まさはるっ」 「須藤さん、落ち着いて」 「でも、将晴がっ」 「大丈夫だからっ」 夏目先生が私の体を抱いて制止する。 そうしていてもらわないでは、おかしくなりそうだった。 なんで。 何で将晴が。 「須藤さんっ」 夏目先生が大きな声で私の名前を叫んだ。 「この救命救急センターの一員として動けないのなら、今すぐここから出て行って」 夏目先生がまっすぐに私の目を見る。 それは、当然の言葉だった。 「できます。大丈夫です」 「本当だね?」 「はい」 落ち着け、私。 冷静になれ。 何で将晴がとか、そんなのは後だ。 とにかく、今は将晴を救うことに全力を注がないと。 「救急車、もう一台来ます」 けたたましく鳴り響くサイレンの音とともに、さらにもう一台の救急車が到着する。 「須藤さん、そっちの患者さんお願いっ」 「はいっ」 私は言われるがままに、新たに到着した救急車に向かって駆け出した。 後方のドアが開き、ストレッチャーが運び出される。 「何で……」 現れたのは、いつぞや料理を差し入れた美人のお隣さんだった――
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