第六章

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翌日、俺は言われた通りに直樹の授業参観に参加した。 もともと周囲の公立高校の中で最も野球部が強いという理由で選んだ学校であり、学力的には大分余裕があることはわかっていたが、それにしても直樹の優等生ぶりは予想以上だ。 流暢な英語でプレゼンをする様には、さすがに驚かされた。 授業を見ているだけで、クラス内でかなり人気があることがあることがうかがえる。 この間は少し適当な発言をした部分もあったが、こりゃ本当に相当モテるだろうな。 聞いてみたことないけど、彼女とかいたりするのだろうか。 公開授業が終わり、その後の懇談会までの間に若干の間が設けられる。 その間に俺は校内を歩いて回ることにした。 なんてことのない普通の公立高校だ。 創立からそれなりの年数が経っているのであろう、校内の壁のくすみが時代を感じさせた。 高校って懐かしいな。 自分がこの学校に通っていたわけでもないのに、そんなことを思った。 「こんにちは」 声をかけられて振り返ると、そこにはいたのは直樹の担任の若い理科教師だった。 「えーっと」 おそらく先ほどの彼の授業を観覧していた俺を覚えていて声をかけてきたのだろうが、当然初対面の俺が直樹の兄だと知るはずもなく、続ける言葉に迷っているのが手に取るようにわかる。
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