第六章

22/36

75人が本棚に入れています
本棚に追加
/507ページ
「ほらよ」 俺は直樹に向かって、今日の帰り際に受け取ったメモ用紙を差し出した。 「え、何?」 「何じゃねえよ。探し人の連絡先」 「え?見つかったの?」 人を派遣しておいてそこまで驚くとは何事か。 どうせ、見つかると思っていなかったんだろう。 「んー、よくわからん」 「え、どういうこと?」 俺は見てみろという風に、直樹の手元にあるメモ用紙を指差した。 メモ用紙には、携帯電話の電話番号とともに内海麻子という名前が書かれている。 「女?」 用紙を見た直樹が不思議そうに首を傾げる。 「まあ、そうだろうな。麻子っていうんだから」 「え、何?早川のお姉さんの彼氏探してたんじゃないの?」 「知らねえよ。その彼氏の連絡先を聞いたらこのメモ渡されたんだって。これを、彼女のご家族にっていうんだから、早川さんに渡してやってよ」 「ちょっと待ってよ。そもそも誰がそんな」 俺は、直樹に一連とのやりとりを説明した。 「マジか?コーくんは盲点だったわ」 直樹が担任をコーくんと呼んでいることを突っ込もうと思ったが、それについて話が広がっても困るのでやめた。 最近の高校ってゆるいんだな。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加