第六章

23/36

75人が本棚に入れています
本棚に追加
/507ページ
「よくわかんないけど、とりあえず、これ早川に渡したらいいんだよね?」 「まあ、そうじゃないか。そうしてくれって言ってもらったメモだし」 よくわからないのは、俺の方だ。 なんだ、あの反応。 なんで、本人の連絡先じゃないんだ。 わからないことだらけだ。 「ありがと。さすが兄貴。まさか見つかるとは」 「俺だって驚いたよ。あだ名なんかで見つかるわけないと思ってたのに」 「それにしても『わんちゃん』ってなんなんだろ。犬?」 「さあ?それこそ、先生に聞けよ」 「確かに」 直樹とのやりとりが終わりを見せたかと思えば、突然「そういえばさ、お隣さんさ」と何故か高橋さんの話題を切り出した。 「お隣さんが何?」 「兄貴、あの人となんかあった?」 「は?どういうことだよ」 「この間真奈美さんに聞かれたとき、不自然に興味ないふりするから、なんかあったのかと思って」 不自然だったか? 先日の真奈美との会話を思い出そうとしたが、詳細な情報が出てこない。 「別に。先週夜コンビニ行ったら偶然会ったから、ここまで一緒に帰ってきただけだよ」 「やっぱあったんじゃん」 「ないだろ。何も」
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加