第六章

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電車のアナウンスが最寄り駅への到着を告げる。 今日は直樹が友達と外食で、真奈美も来ない。 スーパーで惣菜でも買って帰るか。 そんなことを考えながら改札をくぐると、見覚えのある後ろ姿がそこにあった。 思わず足を止める。 どうしよう。 そんな俺の思考をよそに、彼女はくるりと振り返る。 目が合った。 「こんばんは」 高橋さんだった。 これで、三回目。 「こんばんは」 俺は前回と同じように挨拶を返した。 「お仕事終わりですか?」 「あ、はい。そちらも?」 「はい」と言って彼女は穏やかな表情を見せる。 前回よりも普通の会話ができている。 少し、慣れたからだろうか。 「その後、どうなりました?あの……」 俺は例のストーカーのことを聞いた。 気になってはいたが、さすがにそれを聞くために隣の部屋のインターホンを押すわけにもいかない。 「あれは、もうなくなりました」 彼女は、前回よりもやや明るい表情でそう言って微笑んだ。 「本当ですか?」 なんだか少し拍子抜けしてしまった。 あのようなストーカー行為が何もしていないのに止まることもあるのかと不思議に思ったが、奴らの思考が俺に理解できるはずもない。
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