第六章

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「好きだよ」 「将晴っ?」 「愛してる、真奈美」 最後に、そんなことを口にしたのは一体いつのことだっただろうか。 まったく思い出せなかった。 ただ、今、それを伝えなければならないような気がした。 真奈美が「痛いよ」と言うので、「ごめん」と返して彼女を解放する。 珍しく、真奈美の頬が赤く染まっていた。 「バカ」 「うん」 「すっごく、心配したんだから」 「うん」 「ほんとに、バカ」 真奈美が少し涙目になっていた。 この人を、一生懸けて幸せにしようと、心からそう思った。 「あー、もう、言いたいこといっぱいあったのに」 「うん」 「将晴の顔見たら、全部、忘れちゃったじゃん……」 真奈美がボロボロと泣き出す。 俺は、もう一度その手を引いて、彼女を抱き寄せた。
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