第七章

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「柳瀬は?」 「ん?」 「柳瀬は、どっちかの味方にはつかないの」 「つかないよ」 また、簡潔な答え。 ドライというのとも少し違うような気がするが、何にせよ掴みづらい奴であることには変わりない。 「夏目、最近いつも一人だけど」 「いいんじゃない?別に。俺は、一人じゃ飯食えないとかいう奴の方が理解不能だけど」 別に一人でご飯が食べられないわけではないが、柳瀬の中では自分も同人種として括られているのだろうと思うと、責められている気がして心地が悪い。 「でも、お前まで夏目から離れる必要ある?」 こう言っては何だか、今日の様子を見ても、おそらくこの一ヶ月柳瀬もほぼ一人で行動してきたのではないだろうか。 それが苦ではないというのが先ほどの発言の意図だろうが、苦でないことは積極的な理由にはならない。 「別に。もともと、宗佑が俺たちを必要として、求めていたから一緒にいたんだ。いらないっていうなら、それでいいよ」 「夏目が?どういうこと?」 最初に抱いた疑問だ。 どうして、この三人が一緒にいるのか。 小さく首を傾げた柳瀬は「宗佑が翔太と同じクラスなのは、偶然だと思う?」と意図のわからない質問をしてくる。 「どういうことだよ?偶然以外に何が……」 「まあ確かに、ちゃんと同じクラスになれたのは偶然かもね」 意味がわからないと言おうとして、ひとつの可能性に行き着く。 まさか。
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