第七章

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「夏目が渡辺に合わせてフランス語を選択したってこと?」 東大のクラス分けは科類と語学選択をもとに行われる。 同じ語学を選択すれば、同じクラスになれる確率が非常に高まるのは事実だし、仮に同じクラスになれなかったとしても必修の授業が合同になり接点が作りやすくなることだろう。 「宗佑がそう言ったわけじゃないよ。それに、多分翔太も気付いていない」 それでは、柳瀬の想像ということだろうか。 しかし、それにしては、いやに自信たっぷりにものを言う。 「何の根拠があって、そんな」 「根拠?ないよ、そんなもの」 柳瀬は清々しいほどきっぱりとそう言い切った。 「おい」 「でも、多分そうだよ」 ダメだ。 埒があかない。 「そんなことできるのか?その、入学前に語学の選択を知るなんてこと」 「翔太はTwitterやFacebookでもそういう話してるからね」 ああ、なるほど。 確かに渡辺ならやっていそうだ。
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