第七章

13/60

75人が本棚に入れています
本棚に追加
/507ページ
「なら、どうして、夏目と一緒にいた?」 「俺も、宗佑と同じものが知りたかったから」 同じもの? 友達の価値? 有用性? 何だよ、それ。 友達って、そういうものじゃないだろう。 そう思うのに、目の前の柳瀬相手にそれを主張することができなくて。 「お前ら、おかしいよ」 夏目も、柳瀬もおかしい。 どう考えてもおかしい。 まともなのは、渡辺だけだ。 「そうかもね」 柳瀬は俺の言葉を否定することはなかった。 その瞳にわずかに孤独の色を見たような気がしたのは、あるいは俺の気のせいだったかもしれない。 「夏目って、一体……」 何なんだ。 この一年弱の夏目に関する記憶が頭の中で巡った。 同じクラスだが、それほど深い関わりはない。 話したことも数えるほどだ。 そうして行き当たったのは、一徹についての記憶だった。 昨秋失った、旧友。 結局、警察はあれを事故と判断した。 自殺の理由が見つからなかったからだ。 けど、本当にそうなのか。 嫌な想像が、膨らんで止まらない。 いや、でも、徹と夏目にそれほどの関わりなんか。
/507ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加