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「あ」
古い記憶が繋がったような気がした俺は、思わず声を漏らした。
柳瀬がわずかに首を傾げる。
高校時代、近くの高校で一つの事件が起きた。
同い年の男子生徒の親が強盗殺人を犯し、さらに男子生徒がその親を殺したというショッキングな内容だ。
歩いて十分もかからない学校で、中学までの友人も多く通っていたものだから、話はすぐに伝わってきた。
結局、男子生徒は正当防衛が認められて実刑を受けることはなかったが、その生徒について徹と話したことがあったのを思い出した。
「すげーイケメンで、超賢い」
「は?」
「徹が、そう言ったんだ」
どうして、今の今まで忘れていたのだろうか。
「何の話?」
「高校時代、夏目の学校であった事件の当事者を表した言葉だ。親を殺したって……」
さすがの柳瀬も、少しだけ目を大きくした。
「もしかして」
あれは、夏目のことだったんじゃないのか。
証拠なんてないのに、不思議と確信に近いものを感じていた。
「なるほどね」
柳瀬は、まるで何かに納得するかのように、その言葉を口にした。
なぜ、どうして、そんな反応になるんだ。
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