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「驚かないのかよ」
「驚いてるよ」
柳瀬の表情は、言葉とは裏腹に先ほどから微塵の変化も見られない。
「でも」
だって、親だぞ。
いや、それ以前に殺人だ。
正当防衛だから、違う?
本当に?
嫌な汗がこめかみを伝う。
いつの間にか三限の開始時間は大きく過ぎていたが、まったく気にならなかった。
「夏目って、一体何者なんだ?」
先ほどから感じていた恐怖を、俺は改めて口にした。
「さあね。でも、宗佑は宗佑だよ」
柳瀬は、はじめと変わらない声のトーンでそう言った。
理解が追いつかない。
もはや渡辺のことなんて完全に忘れていた。
渡辺が医学部に進学しなかったことを知るのは、まだ、もう少し先の話だ――
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