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あれから八年の月日が経ち、二十七になった。
高校生の頃は二十代の後半なんて大人だと思っていたのだが、なってみれば何のことはない。
あの頃と何ら変わりないガキでしかないことがよくわかる。
自分で大人だと感じられるようになる日が来るまで、一体何年かかることやら。
「よお、久しぶり」
大学の同窓会の会場で、そう言って手を挙げた渡辺は、学生時代にも増して男前になっていた。
垢抜けた茶髪だった髪が日本人らしい黒になっているが、こちらの方がずっといい。
女がいくらでも寄ってきそうだ。
「久しぶり」
答えながら、俺は辺りを見回した。
夏目の姿はない。
「夏目なら来てないよ」
「え」
どうして。
「違った?あの頃、柳瀬に探り入れてたから、結構気にしてたのかと思って」
「知ってたのか」
「柳瀬からな。別にわざわざ報告してきたわけじゃないんだ、悪く思わないでやってくれ」
柳瀬にとっては、黙っているにも喋るにも理由もなければ大差もないだろう。
「別にいいよ」
知られたくないなら、きちんと口止めでもしておく。
「そ」
渡辺はたいして興味もなさそうに、テーブルの上にあるシャンパングラスに手をかけてくいっと飲みほした。
そんな所作にも色気が垣間見えるから男前はずるい。
俳優にでもなればよかったのにと思ってしまう。
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