第七章

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「ちっちゃい頃からってことは、幼馴染的な?」 「うん。斜向かいの家の子」 「漫画みたいだな」 「漫画なら、最後にくっついたかな?」 「漫画なら、結婚式のときにかっさらったんじゃないか」 「簡単に言ってくれるなよ」 そんなことができるなら、もっと前に告白していた。 「そんなに、好きなの?」 「どうなんだろうな。もう、わかんねえよ」 多分、違う。 これは、恋じゃない。 ただ、好きでいたかった。 それだけだ。 一途な自分に酔っていたのかもしれない。 「ふーん」と呟いた渡辺は、興味があるのかないのかよく分からない。 「未だに会ってんの?」 「会ってるよ」 「え」 疎遠だという答えを期待していたのが手に取るようにわかるようなリアクション。 そうだよな。 この年になって幼馴染も何もないよな。 それも、結婚しているならなおさら。
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