第七章

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機嫌がいい、か。 自分ではそんなつもりはないのだが、傍から見てわかるとなると相当表に出ているのだろうか。 原因はわかりきっていた。 昨晩のクラス会で渡辺と久しぶりの再会を果たしたことだ。 再会、というほどの仲でもなかったはずだが、不思議とこれまで誰にも話していなかったような話を重ねた。 渡辺翔太は、不思議な魅力のある奴だ。 老若男女を問わず、人を惹きつけるものをもっている。 長年もやもやとしていたものが、一晩にして吹っ飛んだような清々しい気分だった。 男と連絡先を交換して浮かれているなんて、誰かに話したら引かれてしまいそうだな、と一人でツッコミを入れた。 「おはようございます」 「おはようございます」 廊下を歩く保護者に会釈を返す。 参観可能な授業は二限からだったはずだが、一限の時間から訪れている保護者は毎年ちらほらと見られた。 もちろん追い返すような真似はしない。 それなら、一限から参観可能だと銘打っておけばいいのにと思ってしまうが、それを決定する権限は俺のような新米教師には与えられていなかった。 二限は空きコマだが、三限には俺が担任しているクラスの授業がある。 あらかたの生徒の三者面談を終えた今、保護者の多くが見知った顔となったわけだが、やりやすいのかやりづらいのか。 そういえば、加護の兄貴は来るのだろうか。 来ないかな、見てみたいな。 そんな子供っぽいことを考えながら、俺は一限の教室へと入っていった。
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