第七章

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「はい、なんでしょうか」 「先生っておいくつですか」 年齢? 「僕ですか?今年で二十七になります」 答えながら、童顔だから随分と若く見えたのだろうと推測する。 「見えないですよね。未だに高校生と間違われるんです」 事実だ。 年相応に見られることはまずない。 大学生と言われることは日常茶飯事だし、高校生と見られることもそれほど珍しくはない。 「あの、先生ってこの学校のご出身ですか」 男は、突然そんなことを尋ねてきた。 「あ、いえ。僕は隣の……」 駅の方を指差す。 そこに自分の通っていた高校があるのだが、私立で少し名のある学校であるため、言いづらかった。 「すみません」 「あ、いえ」 謝られてしまうと、余計申し訳ない気分になる。 変な気回しをせずに、堂々と言うべきだったか。 しかし、彼はどうして俺の出身高校なんか気にするのだろうか。 様子を観察しようと、その表情を凝視すると、わずかに落胆の意図が見て取れる。 まるで、俺にここの卒業生であってほしかったみたいだ。
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