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「どうかされたんですか」
俺は素直に尋ねた。
「いえ、ちょっと、人探しで。この学校の出身で先生と同級生の人というのはわかっているんですが」
人探し。
なるほど、そういう事情か。
「そうなんですか。あの、僕、家が近所で、ここにも何人か友達が通っていたので、良ければ聞いてみますけど」
事実、すでに頭の中に何人か名前が挙がっている。
人探しの中継をするくらいのことはわけない。
「本当ですか」
少し表情を和らげたその人は、「あー、『わんちゃん』って、あだ名か何かだと思うんですけど」と驚くべきことばを続けた。
「『わんちゃん』、ですか……?」
自分が、その言葉をはっきりと口にできているのかも怪しいほどに、俺は驚いていた。
「ご存知なんですか?」
「はい」
もちろんだ。
だって、その名前は俺がつけたものだったのだから。
「その方の、連絡先を教えていただくことは可能ですか?」
「え」
俺は思わず、声を漏らした。
「それは、無理です。だって」
だって、そいつは、すでに、この世にはいない。
連絡先なんて、教えられるはずがないのだ。
この様子では、探し人がすでに亡くなっていることは知らないように思われる。
しかし、そんなことがあり得るのか。
一体、どういう経緯で。
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