第七章

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「探し人の、妹だけど」 「ああ、なるほど」と明るい表情を見せた加護は、それから首を傾げて「でも、何で本人じゃなくて妹さん?」と尋ねてきた。 「あのさ、お前、どこまで知ってるの?」 「どこまで……うーん、そもそもこの話兄貴にしたの俺だから、兄貴が言ったようなことは全部知ってるはずだけど」 「お前が元なの?」 驚いた。 どういうことだ。 「え、うん。何だ、兄貴、それは言わなかったんだ。四組の早川だよ。早川が、その死んじゃった人の妹」 なるほど、そこで早川と繋がるのか。 当事者が思ったよりも近くにいたことで、俺は驚かされた。 「え、じゃあ、あのメモってお前が早川に渡したってこと?」 「うん。って言っても、週末は会ってないから、これから渡すんだけど」 「ああ、そうなのか」 何だか、拍子抜けした気分だ。 そうか。 それなら、そんな回りくどいことしなくても。
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