第七章

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「ごめん、遅れたっ」 麻子は言葉のわりに悪びれた様子もなく、待ち合わせ時刻の五分後にやってきた。 俺の隣の椅子を引いて、そこに座る。 「もう、何か頼んだ?」 「いや、まだ」 「そう」と答えたかと思うと、そのままウエイターを呼びつけ、メニューも開かずにハンバーグを注文した。 それから、ほらあなたたちもという風に俺と早川を見るものだから、俺たちもそれに続いて食事の注文をする。 いつものことながら、マイペースな人だ。 早川が若干面食らっているのが、表情からよくわかる。 「ごめんね、遅れちゃって。内海麻子です。よろしく」 「あ、早川夏帆です。今日は、ありがとうございます、わざわざ」 「ううん、わざわざ来てもらったのは私の方だから。ごめんね、呼びつけて」 「あ、いえ」 当たり障りのない会話だが、いつも通りの麻子に対して早川は完全に恐縮しきっている。 何だか可哀想になってきた。 「それで、話っていうのは?」 麻子は何の前置きもなくいきなり話の核心へと切り込んだ。 「あ、えっと、私のお姉ちゃんが、八年前に妊娠しまして、その出産がうまくいかなくてそのまま死んじゃったんですけど、その相手というか、当時のお姉ちゃんの彼氏を探していまして」 「うん」
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