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「そんで、その帰りに線路に落ちて死んじゃった」
おい麻子、と思わず声を出しそうになる。
簡潔すぎる話と、その言葉選びに早川が絶句するのがわかった。
「あの、いつですか、その、亡くなった日?」
早川は、ゆっくりと噛み締めるように言葉を落とした。
早川が求めているのは、姉と徹のどちらが先に亡くなったのかという情報だろう。
当然だ。
「十一月二十四日」
麻子は何でもないことのように、さらりとその日付を口にした。
早川の黒目が一回り大きくなる。
先ほど、早川はお姉さんが亡くなったのが、十一月二十日だと言った。
徹の死ぬ、四日前。
「後追い自殺」
麻子は表情を変えることなく、そんなことを口にした。
それは、俺も早川も真っ先に考えたことであったはずだが、俺たちは何も言わなかった。
「で?あなたはどうしたいの?」
「え」
麻子の突然の問いかけに、早川は黙った。
「聞いての通り、もうお兄ちゃん死んじゃってるんだけど、何かお望み?」
「おい、そんな言い方っ」
俺は思わず口を挟んだ。
あまりに配慮がない。
「黙って」
麻子の声が冷たく響いた。
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