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「どうしてほしい?私か親が、あなたの家まで謝りに行こうか?」
「そんなことっ」
早川が必死に首を振った。
「そんなこと、してほしいわけじゃありません」
「じゃあ、どうしたらいい?あなたはなんのために、お兄ちゃんを探してたの?」
「私はただ、本当のことが、知りたかっただけで……」
早川が俯くのを見ながら、胸が痛んだ。
どうして麻子はこんなに冷たいことを言うのだろう。
「じゃあ、もう満足した?私たち、これ以上のこと何も知らないの」
早川は、もう一度顔を上げて麻子を見たが、自らの発すべき言葉は見つかっていないようだった。
「お姉ちゃんのこと、救えなかったのを、お兄ちゃんのせいにしたかった?残念だね、もう、いなくて」
「おいっ」
俺が麻子の肩を引いて、制止したのと、早川が立ち上がるのが同時だった。
「ご迷惑おかけしてすみませんでした。もう、関わりません」
早川が鞄の中から財布を出す。
一切手を付けていない食事の代金を出そうとする早川に向かって、麻子が「これくらいおごるよ」と言ったが、早川がそれを無視して千円札をテーブルに叩きつける。
「ありがとうございました」
「おい」
出口に向かって歩き出した早川を追いかけようとしたが、麻子が「航平が追いかけても何にもならないよ」なんて言うものだから、所在をなくしてしまった。
早川が立ち去った後の空間を呆然と見つめる。
何で、こんなことに。
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