第七章

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何か、あったのだろうか。 あの場所にあったもの。 俺? それとも……夏目? 答えの見えない問いに、俺は考えることを放棄するように首を振った。 帰ろう。 そう思ったが、ぱっと目に入った病院の名前が俺の足を止める。 それは、今朝加護直樹が友人と話していた加護さんの入院している病院だった。 ふと、加護さんに会いたくなった。 誰かに、話を聞いて欲しかった。 時計を見る。 面会は何時までだろうか。 正面玄関から病院の中へと入ると、幸いにもそこに書かれた面会の終了時刻まで三十分ほどの猶予があった。 俺は手続きを済ませて加護さんの病室へと向かった。
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